2014年7月20日日曜日

底材について考える

ある朝、目覚めたらアンジュが大洪水を引き起こしていた。


温度計の小舟に乗って。

一体どうしてこんなことに。
水入れ皿は倒れていない。
たとえ早朝にアンジュがとぐろを巻いて朝風呂を満喫したのだとしても、溢れない程度の量しか入れていなかったはずだ。
現場の状況から考えられるトリックは…
底に敷いておいたティッシュ、あれが犯人に違いない。

蛇の飼育ケースには必ず何か底材を入れる。
糞を取り除きやすくするためだ。
アンジュのケースにはティッシュを重ねたものを敷いておいたのだけど。
夜中に潜っていて跳ね除けたんだろう。
端が水に浸かって、毛細管現象でどんどん水が吸い出されていった。
それで朝にはご覧の有様というわけ。

底材のチョイスは簡単なようで奥が深い。
1年と少し蛇飼育をしてきて、一番色々変えたり試したりした部分だと思う。
性能から、コストから、美観の面から…どれも一長一短。これで完璧、というものはないと言っていい。

★例1 ティッシュペーパー
大きさを合わせて重ねて敷くだけ。
どの家庭にもあって入手容易。コスパ良。
欠点は軽さ、毛細管現象、微妙な耐水性(濡れても溶けない)のコンボにより冒頭のような洪水のリスクがあること。
それでなくとも薄すぎて糞に含まれる水分でへたり、結局ケースの底がベトベトに。

★例2 トイレットペーパー
身近な素材という点は上に同じ。
違うのは水に触れたそばから溶け落ちるので、毛細管現象で夜じゅう水を吸い出し続けることはないということ。
ただ、半溶けペーパーの混じった水を蛇が飲んでも大丈夫なのかという点、
及び糞の水分で容易くボロボロになるからなおさら掃除が大変という点でなかなか実用には至らない…

★例3 新聞紙
最も多くの蛇飼いさんが使用しているだろうアイテム。多頭飼い・ブリーダーさん御用達。
なにしろコスパが最強だ。読み終わったものの廃物利用ならコスト0円。
けれど私は使わない…思った以上に水を吸わないのだ。
糞の周りの水っぽい部分が池を作っている…
新聞のインクは防ダニ効果があるらしいが、CBのコーンにダニはそもそも心配無用である。
インクで蛇腹が黒ずむ…
何より見栄えが…愛しい蛇のお腹の下で政治家のおじさまが謝罪会見してるのはちょっと、変に現実に引き戻されちゃうからやめて。

★例4 キッチンペーパー
ティッシュに比べて多少の値は張るけど上位互換的性能を持つ。マリーもアンジュも小さい頃にお世話になった。
ベビーで糞の量も少ないうちはこれで十分だったりする。


見ろよこれ…寝顔だよ…蛇は目開けて寝るんだよ…
最強すぎるだろその顔はっ/////

しっかり吸水しつつ厚みと固さがあり、蛇が暴れても水入れにドボンされにくい。
軽い素材はまさに、寝相の悪いやんちゃ坊主が跳ね除けた布団のように、ケースの隅に追いやられてくしゃくしゃに丸まってたりするのだ。
セロテープで貼っとけばいいって?そんなことしたら掃除の時にいちいち剥がすの大変だろう。
美観も及第点。白一色に蛇の体色がよく映える。

★例5 敷き藁など
ここからはペット用品である。
のこぎりで切った時に出るおがくず、かんなで出来るかんなくず、木の破砕片であるウッドチップ、乾燥した植物片である藁等、とかく木材系。おがくずは粒子が細かすぎて呼吸器に悪い気がする。
余談だけど、20年程前にハムスター飼ってた時、いわゆる『小動物臭』に悩まされた。小屋の周辺一帯が臭くて臭くて。
いつもきれいに掃除してるのになんでこんなに臭うのか疑問だった。
小動物を飼う上で避けられない臭いだと諦めてた。
それが今回、ペットグッズ売り場に行ってみて、20年越しの謎が解けた。あの臭い、藁の匂いだったんだ…
どうやら針葉樹を使ったチップが臭うらしい。木のヤニの臭い。ツンとくる感じ。
そしてこの手の商品は大体パッケージに「爽やかな木の香り」とか「消臭効果」とか書いてある。
小動物自体も確かに臭うよ。獣臭とか糞尿の臭いとか。
だからってそれをより香りの強い木材の臭いでかき消そうとするのはいただけない。トイレの芳香剤じゃないんだから。
これから敷き藁を選ぶ際にはみっともなくても袋に鼻くっつけて嗅いでみることをおすすめします。ヤバイ奴は袋越しでもわかります。
私が選んだ「スドー アスペンの大地」は全くの無臭。アスペン=ポプラ。広葉樹。
ナチュラル素材で蛇を飼いたい方の間で人気商品なのも頷ける。
小型哺乳類と違って蛇自体も無臭だから、ケージ周辺は完全無臭と相成った。めでたしめでたし。


幼少のマリー。今のアンジュが入ってるのと同じケースだよ。
こんな時代もあったのか…

自然素材だけあって景観良好。やっぱり動物は草地にいるのが似合う。
ただし、欠点もある。人工素材と違って吸水吸湿性はどうしても劣る。
糞の水分はある程度吸収するものの、染み渡ってることも多く、どこまで汚れてるか見えにくいので、ある程度は勘で周りの藁ごとごっそり取る必要がある。
その結果ケージ底面に到達してたってことも多い。
蛇がほじくったり片寄せたりして藁のない部分がちらほらできてしまう。そして狙ったかのようにそこに向けて排泄するorz
また、チップは結構固い。置き餌にすると餌にくっついてしまい、蛇がそのまま食べてしまう。
何もなく排泄されることが多いけど、体の小さい幼蛇にはちと怖い。ので、大人になるまで使用を中断してしまった。

ところで…幼少マリーの画像探していたら結構かわいいんだが…、載せよ…、


蛇は意外と人の顔を見る。じーっ


おわかりいただけただろうか…

この可愛い子が1年後



こうなる。

何その顔こっわ

歳月とは残酷なものです…
(力強くてかっこいい大人マリーくんも好きだけどね)

★例6 ↑の画像で下に敷いてあるの何かって?猫のトイレ砂
これは蛇飼育界の禁じ手かも知れないなあ。
水を吸収して固まる猫のトイレ砂。
タブーとされているのは蛇が餌と一緒に食べてしまった時、体内で固まると危険だから。
まあ、要は一緒に食べさせなければいいわけだ。
写真みたいにお皿に乗せて差し出せば…と思ったのですが甘かった。
この写真の直後、2匹目に取り掛かったマリーは何を思ったか皿からマウスをお持ち帰り
ケージ奥までテイクアウトして地べたで食べるという行動に出た。


お行儀悪いぞ!

マウスは自然解凍だから濡れてないし、万一のために粒の大きいタイプを買ったからくっつかなかった。
でも次からはケージから出して食べさせます…生き物は時に予想外の行動を取るものだ。

★例7 ペットシーツ
ちびのアンジュも成長してきて、糞の量も多くなった。
キッチンペーパーの次代を担うのはこれしかあるまい。
室内犬のトイレに敷くペットシーツ。


青色が爽やかでキレイ
実は4年前に逝った愛犬の遺品だったりする

表面は透水素材・中層は吸水ポリマー・裏はビニールの不透水層
さすがは専門商品 吸水に関して右に出るものなし!


欠点はお値段もそれなりにすることと、これ。
裏に潜る。
当然上から見ると何も居ない。ペットシーツを飼っているようなもの。


おわかりいただけただろうか(2度目)

寝相が悪ければそれなりにひっくり返る。


蛇もやはり掃除して貰えると気持ちいいんでしょうね。
さっぱりのびのびと動き回り始めます。
それは上の写真から5分後のこと。


※自粛

やってくれたよ…
しかもシーツのない部分に…
掃除後5分で次の糞をする、アンジュの得意技なんです。
お食事中の方、大変失礼致しました。




…蛇のンチがどんなものか見てみたい方に、リンクだけしておきましょうか…
なかなか見る機会無いからね。
私も実際飼うまでイメージ掴めなかったんだ。検索しても載せてくれてる人少なくて。
白い部分は尿酸。
人間の尿にも含まれる尿素を、爬虫類は更に尿酸に変えて排出する。
卵の中で排泄しても安全だかららしいよ。鳥の糞の白いのも尿酸だよ。
またしても記事のオチが小学生男子みたいなネタになってしまったよ。どうしていつもこうなるの!